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■『戦旗』1659号(6月5日)4-5面 共産同(統一委員会) 2024年政治集会基調報告 ●二〇二四年世界情勢 二〇二二年二月以来のウクライナ侵略戦争の泥沼化と、昨年一〇月からのイスラエルのパレスチナ人民大虐殺によって、世界は帝国主義列強と中国・ロシアなどとの「分断と対立」に一層の拍車をかけることとなった。米帝―バイデンは、中国をはじめ、ロシア、イラン、朝鮮民主主義人民共和国(以下、「共和国」)などに対し、「民主主義と専制主義との戦い」を旗印に、政治、経済、軍事の全面にわたる圧力をかけている。 その一方で、米帝はじめ帝国主義国は、イスラエルのパレスチナ人民大虐殺については、イスラエル支持の立場をとり続けている。この露骨なダブルスタンダードこそが、米帝―バイデンの主張する「民主主義」なるものの欺瞞と、その真の狙いが米帝自身の帝国主義的覇権維持にあることを鮮明にしている。 米帝はじめ帝国主義列強は、コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻後に、およそ三〇年におよんだグローバリゼーション戦略を転換した。この間に「世界の工場」と表現されるほど急速に大国化した中国の世界戦略=「一帯一路」路線やBRICS、上海協力機構、あるいは帝国主義による世界の再編成に対抗するロシア、イラン、共和国などとの国家間戦争をも見据えた「分断と対立」を今後もさらに先鋭化させつつ、帝国主義的覇権を護持しようとしている。 超大国として戦後世界体制を編成してきた米帝の没落は、より一層顕著となっている。二〇二一年のアフガニスタン撤退に続いて、現在進行しているウクライナ侵略戦争、パレスチナ人民大虐殺という二つの戦争について、米帝はこれを軍事力によって抑えつけることも、外交交渉によって停戦させることもできないでいる。自らの立てた「民主主義と専制主義」という政治的線引きによって、世界を「敵か味方か」で二極化し、ウクライナ、イスラエルへの軍事支援を続け、戦争を継続させ続けているのだ。 戦争の長期化は、米帝はじめ帝国主義諸国の軍産複合体などに空前の利益をもたらしている。一方で戦地では、列強諸国が提供する武器によって兵士が殺し殺され続けている。戦地の住民は救援物資が圧倒的に不足する中で、病気や飢餓、虐殺など死と隣り合わせの状態に置かれている。この理不尽極まる状況の中に、戦争によって利益を手にする帝国主義ブルジョアジーの「死の商人」としてのグロテスクな本質が見えてくる。 コロナ禍と二つの戦争に直面した帝国主義諸国が、世界の「分断と対立」を一層強める中で、温室効果ガスによる地球温暖化は待ったなしで進行している。 グテーレス国連事務総長は昨年、「地球沸騰化」と表現した。大気と海水温の上昇は、巨大な熱帯低気圧や森林火災を多発させている。その影響は大規模であり、農作物や水産資源にも変化をもたらしている。それらは、このままでは地球温暖化がもはや回復することができない=不可逆的地点にまで至りつつある。 帝国主義諸列強が進める世界の「分断と対立」の深まりは、人類と地球環境総体をめぐる危機の深まりについて、これを協議して解決する場が失われていくことをも意味する。 新自由主義グローバリゼーション後の世界編成をめぐる分断と対立の激化、気候変動の進行として顕在化する現代世界の混迷が示しているのは、資本主義というシステム自体が限界に達しているということだ。にもかかわらず帝国主義諸国は、地球規模での問題を克服していく方策を出さずに、野放図な資本進出を続けているだけだ。命脈が尽きつつある資本主義にとって代わる、持続可能な未来社会が今こそ希求されている。 われわれが目指しているのは、このような現実的展望としての共産主義である。これらが空想的な未来社会と区別されるのは、現状変革の現実の運動であるということだ。 混迷し流動する世界情勢の中において、われわれは、プロレタリア国際主義の旗幟を鮮明にし、反帝闘争、反戦闘争を闘い抜いていかなければならない。 結集された皆さん、われわれと共に二〇二四年を闘い抜き、未来を切り拓こう。 ウクライナ侵略戦争 ロシアによるウクライナ侵略戦争から丸二年以上が経過した。戦争は膠着状態となっている。昨年六月から開始されたウクライナ軍の反転攻勢は、ウクライナ南部および東部のロシア「編入地域」を押し戻せていない。現在では、帝国主義諸国からの武器援助などの支援が限界に達しており、戦況はより不利となっている。戦争の長期化の中、前線では一進一退の攻防が続いており、兵士の犠牲がそれだけ増大している。この戦争での死傷者は五〇万人といわれている。 ロシア軍の即時撤退と帝国主義諸国による武器供与に反対するウクライナ反戦・即時停戦要求が全世界で取り組まれている。われわれは、国際反戦闘争としてウクライナ反戦闘争を闘わなければならない。 パレスチナ人民大虐殺、ラファ地上侵攻許すな 昨年一〇月七日のパレスチナ解放勢力による「アルアクサの洪水」作戦を口実に、イスラエル・ネタニヤフ政権はガザでの無差別大虐殺に踏み込み、現在も強行している。パレスチナ人の犠牲者は三月時点で三万人を超え、その半数は子供たちだ。無差別空爆によって、行政施設や病院なども含めたあらゆる建物が徹底的に破壊された。イスラエルによる封鎖で医薬品、食料などの生活必需品が搬入できず、ガザ地区の25%が飢餓状態におちいり、餓死者が続出している。国連がガザ全域では五七万六〇〇〇人が餓死寸前と報告するほどのすさまじい人道的危機が発生しているのだ。 ネタニヤフ政権は、ガザ住民の避難先である最南部のラファに対して空爆を続行している。ネタニヤフはアメリカの支持・支援がなくても地上侵攻をすると公言している。避難民には逃げ道はない。 ネタニヤフ政権は、イスラエル史上最も極右の宗教シオニストらで構成されている。ネタニヤフ政権が狙っているのは、ガザ地区を軍事制圧することだ。さらには、ガザ地区のパレスチナ人をエジプト領へと追放しようとしている。最終的には、ヨルダン川西岸地区を含めたパレスチナ人のすべての土地を強奪し、全パレスチナ人をイスラエル「領土」から追放しようとしているのだ。 この極右シオニスト=ネタニヤフ政権を支持・支援してジェノサイドに荷担しているのが、米帝をはじめとする欧州の帝国主義列強および日帝―岸田政権だ。米帝―バイデンは、軍事支援を継続し、国連では即時停戦決議案や和平案に拒否権を発動している。欧州帝国主義諸国や日帝もまた、米帝に追随して即時停戦を求める安保理決議に反対し、国内で沸き起こるイスラエルによるガザ大虐殺弾劾、イスラエル軍の即時撤退、パレスチナ解放を求め決起する労働者階級人民の闘いを弾圧している。 アラブ諸国などイスラム圏をはじめ全世界で、極右シオニスト・イスラエルと、それを支援する帝国主義諸国への怒りが充満している。警察権力の弾圧を跳ね返し、ジェノサイド弾劾、パレスチナ連帯を訴える闘いが繰り広げられている。 パレスチナ人民解放闘争に連帯し、イスラエルの虐殺阻止、即時撤退を要求して闘おう。 米帝―バイデン政権の対中包囲網形成、インド太平洋戦略 米帝―バイデンは、二〇二二年一〇月に「国家安全保障戦略」を策定した。中国を、「国際秩序を変える意図と、それを実現する経済力、軍事力、技術力を備えた唯一の競争相手」と位置付け、インド太平洋地域を、米帝にとって「死活的利害」のかかった地域と規定した。この戦略の下で米帝は現在、政治、経済、軍事などあらゆる領域において中国包囲網の形成を進めている。米帝―バイデンの戦略こそが、同地域での戦争の危機を高めている最大要因だ。 米帝―バイデンは昨年八月の「キャンプデービッド合意」をはじめ、日米韓の三国軍事同盟化、クアッド(日米豪印戦略対話)、AUKUS(米英豪安保枠組)など、インド太平洋地域における多国間安保構築、同地域版NATO形成の動きを加速させている。先日四月一〇日の日米首脳会談、翌日のホワイトハウスで開かれた日米比首脳会談も、その表れだ。 台湾への武器大量供与や、この間、「第一列島線」に沿っての、琉球弧を中心とした先制攻撃兵器=スタンドオフミサイルの配備、琉球弧を戦場に想定した日米軍の「離島奪還訓練」、日米あるいは米韓による合同軍事演習の強行による中国、共和国への戦争挑発が行われている。 ●国内情勢 メディアは今通常国会を、「裏金国会」として描き出している。岸田は自民党派閥による組織的裏金づくりの実態解明をすることなく、関与した議員の「処分」で逃げ切ろうとしている。また、ごく一部の労働者階級上層の賃上げを喧伝して、「経済再生」の幻想をふりまいている。岸田は、それらを隠れ蓑にしながら、戦争国家化の道を突き進んでいる。 われわれは、今こそ「政治改革」「経済再生」の裏で進行している、日帝―岸田政権の改憲と大軍拡・戦争国家化攻撃を労働者階級人民に徹底暴露し、岸田政権打倒の全人民的政治闘争を創り出していかなければならない。 「防衛力の抜本的強化」の下、戦争国家化に突き進む岸田政権 日帝―岸田政権は、米帝―バイデン政権とともに「インド太平洋戦略」を具体化し、中国の軍事包囲網形成を進めている。安保三文書改定による「防衛力の抜本的強化」の下で、巡航ミサイル・トマホーク四〇〇発購入をはじめとするミサイル大量保有や、宮古島、石垣島、沖縄島など沖縄・琉球弧において、自衛隊基地の建設を強行している。それに伴い、五年間で四三兆円の軍事費倍増予算の閣議決定を強行した。 この岸田大軍拡路線の下、米軍岩国基地強化や佐賀オスプレイ基地建設、大分県敷戸や京都府祝園分屯地でのミサイル弾薬庫建設など、西日本を中心に「本土」での基地強化が住民の反対の声を無視して推し進められている。 さらに岸田政権は、民間空港・港湾の軍民共用化を進めている。全国で「有事」の際に自衛隊や海上保安庁が使用するためとして、一六空港・港が「特定利用空港・港湾」に指定された。空港では戦闘機や輸送機などの使用を可能にするための滑走路延伸や駐機場整備、港湾では大型艦の接岸を可能にするための岸壁整備や海底掘り下げが計画されている。約半数の七か所が九州・沖縄にあることからも、これが中国の軍事的封じ込めを目的にしていることは明白だ。 武器輸出国家への転換を強行 岸田政権は昨年一二月二二日、国会審議も経ず、臨時閣議と国家安全保障会議(NSC)のみによって、「防衛装備移転三原則」運用指針の改悪を決定した。その直後には地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」のアメリカへの輸出を決定した。これは、米帝がウクライナやイスラエルへの武器援助によって不足した分を補填するものであり、事実上の武器供与だ。 また、二〇三五年に完成予定のイギリス、イタリアと共同開発する次期戦闘機の輸出も閣議決定した。岸田は「次期戦闘機に限定する」「戦闘が行われている国に対して移転は行わない」ことをもって、「歯止め」だと主張しているが、何の制約にもならない。岸田は通常国会施政方針演説において、「官民一体となって防衛装備の海外移転を進める」と語っており、日帝の武器生産能力や技術の高度化をはかり、国際的な軍需産業市場に本格的に参入しようとしているのだ。「死の商人」国家化を許してはならない。 経済安保保護法案による国家統制強化許すな 日帝―岸田政権は、戦争国家化攻撃の一環として、経済領域の国家統制を強化しようとしている。経済安保版「特定秘密保護法」としてある「重要経済安保情報保護法案」が、今通常国会で審議入りした。 国が指定した経済安全保障上の機密情報を扱う民間事業者らへの身辺調査(セキュリティクリアランス=適性評価)を導入しようとしている。政府はインフラや重要物資の供給網に関する情報のうち、漏洩が日本の安全保障に支障を与える恐れがあるものを「重要経済安保情報」に指定するとしているが、その内実は法案成立後に政府が決定するという極めてあいまいなものだ。拡大適用がいくらでも可能だ。しかも、身辺調査を行うのは内閣府としており、人数も専門性もあいまいだ。家族、親族や友人関係を含めた思想・信条調査が行われる可能性は極めて高い。機密情報を漏洩した場合には最高懲役一〇年の罰則が科せられる。 この「経済安保保護法案」への議会主義野党の動きは鈍い。そもそも立憲民主党などは経済安保法に賛成の立場であり、国会内では反対の動きはごく少数に限られている。 われわれ革命的左翼こそが、この法案の反動性を全人民的に暴露し、戦争国会粉砕の一環をなす重要な闘いとしてしっかりと位置づけていかなくてはならない。 原発再稼働へ全面転換 岸田政権は昨年五月、「脱炭素」「GX(グリーントランスフォーメーション)」を口実に老朽原発再稼働、原発の新増設など原発政策の大転換を強行した。 本年元日に発生した能登半島地震では、道路が寸断され、多くの被災者は屋内退避も避難もできず、長期間支援を受けられぬまま、今なお孤立を強いられている。これによって国や電力会社の「避難計画」など、まったく実効性のないものであることが明らかになった。志賀原発は甚大な被害を受けており、再稼働していたならば、福島第一原発レベルの大事故が発生した可能性すらあった。だが、岸田は女川、柏崎刈羽、島根、志賀などの原発再稼働を明言したまま未だに撤回してはいない。 昨年八月、政府と東電は、福島県漁連はじめ多くの住民、世界からの反対の声を無視して、福島第一原発事故の放射能汚染水の海洋投棄を強行した。さらに、山口県上関町に使用済み核燃料乾式中間貯蔵施設建設が策動されている。 福島第一原発事故からの避難者を切り捨て、住民の安全を無視して老朽原発再稼働へと突き進む岸田政権を許すな。 改憲、諸反動攻撃進める岸田政権 昨年岸田政権は、入管法改悪の強行や、「LGBT理解増進法」なる差別増進法の制定などを強行した。外国人技能実習制度については、「奴隷扱い」という本質には変化のない、「育成就労制度」と名前を変えただけの改定をなそうとしている。さらには永住者に対して、新たに在留資格取消事由の創設を狙った入管法再改悪を策動している。 反共宗教集団・統一教会との歴史的癒着についても、施政方針演説で一切触れることなく、うやむやにしている。だが、文科相盛山や、さらに岸田自身も統一教会と関係していたことが発覚し追及を受けている。 二五年には、多数の反対の声を無視して、大阪・関西万博を開催しようとしている。万博を口実に、総額九兆七〇〇〇億円ものインフラ整備がなされ、これはIRカジノ施設建設へとそのまま引き継がれる。万博はカジノ施設建設の「露払い」だ。万博会場建設費は、一二五〇億円から二三五〇億円へと倍近くになっている。巨額の資金の多くが労働者人民の税金によって賄われようとしており、人民の怒りは高まっている。万博中止を求める声は圧倒的多数だ。万博強行を狙う岸田政権、日本維新の会を許すな。 岸田は施政方針演説において、自らの総裁任期中の改憲を明言した。三月の自民党・党大会においても、岸田は年内の改憲に向け、憲法審査会に条文起草のための機関を設置し、条文案の作成を目指すとした。さらに、「本年中に主権者である国民の判断を仰ぐ」とも主張し、結党七〇年の二〇二五年に向けて、改憲に全力で取り組む姿勢を強調している。 ●二〇二三年度の闘いの総括 われわれは、岸田政権の反動的・反人民的政策と対決する全人民的政治闘争を全国各地で担いながら、反帝国主義・プロレタリア国際主義に立脚した闘いを推進してきた。また、階級的労働運動、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争を粘り強くおし進めてきた。 第一に、市東さんの農地強制執行阻止決戦を実力阻止闘争で闘い抜いてきた。 昨年二月一五日、市東さんの農地強制執行に対して、五八年に及ぶ三里塚闘争の歴史的地平を引き継ぎ、国家権力の暴挙に対して、身体を張った大衆的実力抵抗闘争を闘い、現場での不当逮捕、五月一一日の六名に対する報復事後弾圧を全員の完黙非転向闘争によって粉砕し勝利した。何よりも重要なことは、市東さん自身がこの闘いの勝利を確認し、営農再建を勝ち取っていることだ。 第二に、五月G7広島サミット粉砕闘争を二日間の現地闘争として闘い抜いた。 三里塚強制執行阻止決戦を口実にした不当弾圧は、G7広島サミット粉砕闘争に対する予防弾圧・政治弾圧でもあった。不当弾圧を受けた同志の完黙・非転向の闘いと一体に、われわれはこの事前弾圧を粉砕し、サミット粉砕の現地闘争を全国闘争として貫徹した。G7広島サミットでは、中国・ロシアとの対抗を鮮明にし、ウクライナ大統領・ゼレンスキーを直接参加させ、日米韓の軍事的連携強化をおし進めた。まさに「戦争会談」であった。採択された「広島ビジョン」は、大国による核独占体制と核抑止戦略を正当化し、被爆者、被爆二世・三世の解放闘争に敵対するものであった。これに対しわれわれは、広島現地での二日間の闘争に取り組んだ。 われわれは、G7サミット反対闘争を反戦・反核・反帝闘争として、全国からの現地決起、街頭政治闘争として闘い抜いた。同時にこれを米国、韓国、台湾、フィリピンなどアジア・世界の各地から広島に結集した民衆団体との反帝国際共同闘争として闘った。国家権力による海外参加予定者への入国拒否弾圧がありつつも、これらの妨害をはねのけて闘争は貫徹された。 第三に、日帝の戦争体制づくり、日米軍事同盟強化と対決し、反戦・反基地闘争を推進してきた。 横田や京丹後、岩国、築城などでの米軍、自衛隊の基地強化に反対する行動の一翼を恒常的に担い、佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備反対運動、新たに大分県敷戸でのミサイル弾薬庫建設反対運動などにも参加してきた。沖縄人民の闘いに連帯し、琉球弧の島々の軍事要塞化、辺野古新基地建設に対して、沖縄現地での闘いの上に、11・23「県民平和大集会」への派遣や首都圏での国会前、対防衛省行動など、各地で闘ってきた。また、8・6広島反戦反核闘争や首都圏での憲法審査会抗議行動などに取り組んできた。 第四に、ウクライナ侵略戦争反対、即時停戦をかかげ、各地での街頭行動を組織化してきた。一〇月以降は、イスラエル大使館抗議闘争や街頭政治行動を呼びかけ、その一翼を担ってきた。 第五にAWC運動支持・支援をはじめとする国際連帯闘争を推進してきた。 コロナ禍によって国際的な民衆運動の直接的交流は大きく制約されたが、昨年G7広島サミット粉砕闘争、六月アジア共同行動、一一月岩国行動を海外からの参加を得て国際共同行動として取り組んだ。 一一月の韓国労働者大会への参加とAWC―CCB会議を支援し、共に作り上げ成功させてきた。 韓国ワイパー労組争議支援や韓国オプティカル・ハイテック争議支援への取り組みを進めてきた。また、技能実習制度問題に実践的に取り組んできた。 第六にわれわれは、原発再稼働反対闘争に全国で取り組んできた。また、福島第一原発の放射能汚染水海洋投棄に反対する取り組みを進めてきた。 第七に差別排外主義攻撃と対決し、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争を推進してきた。 決戦局面を迎えている狭山第三次再審闘争を、各地での日常的連帯活動を進める中で推進してきた。また、鳥取ループなどによる部落差別煽動激化を許さぬ闘いを進めてきた。 難民申請者の強制送還を推進するための入管法改悪に対する闘い、朝鮮学校無償化要求への支持・支援を各地において取り組んできた。 ●二〇二四闘争課題 第一に、日米帝国主義の侵略反革命戦争体制づくりと対決し、岸田政権打倒の全人民的政治闘争を推進していくことである。大軍拡と戦争増税に反対し、戦争国会粉砕をかかげ、全人民的政治闘争を組織していこう。今国会の焦点として、「経済安保保護法案」制定阻止をかかげ国会行動などに立ち上がろう。「戦争・治安・改憲NO! 総行動実」呼びかけの岸田訪米反対、首相官邸前行動を引き継ぎ、日米軍事同盟強化―戦争国家化阻止を掲げて闘おう。組織的裏金作りなど、腐敗を極める岸田政権打倒の全人民的政治闘争に立ち上がろう。 第二に、琉球弧の軍事要塞化・出撃拠点化阻止闘争に立ち上がろう。 辺野古新基地建設―大浦湾埋立て工事強行に対する現地の闘いに連帯し共に闘おう。琉球弧の島々で進むミサイル基地建設、自衛隊基地新設など、中国への軍事包囲網形成のための軍事要塞化=琉球弧の戦場化との闘いに立ち上がろう。 同時に、「防衛力の抜本的強化」の下、急速に進むミサイル弾薬庫建設など軍事施設新設や、民間空港の軍民共用化の攻撃が進められる中、反対する現地住民と結合した反戦反基地闘争の推進は重要だ。岩国、築城、京丹後での基地強化反対、撤去を求める闘いと共に、佐賀オスプレイ基地建設、大分県敷戸弾薬庫建設、湯布院駐屯地への地対艦ミサイル連隊配備、京都府祝園分屯地弾薬庫新設などの新たな闘いへの取り組みが求められている。 第三に、ウクライナ反戦、イスラエルのパレスチナ人民大虐殺弾劾、パレスチナ解放をかかげ、全世界で高揚する反戦闘争と共に闘い抜こう。 第四に、原発再稼働阻止闘争を闘おう。岸田政権は、女川、柏崎刈羽、島根など全国で原発再稼働を狙っている。危険極まりない老朽原発再稼働を阻止しよう。福島第一原発の汚染水海洋放出の即時中止を要求して闘おう。上関原発建設阻止、使用済み核燃料乾式中間貯蔵施設建設計画の白紙撤回を求めて闘おう。福島第一原発事故からの避難者ヘの支援の打ち切りに反対しよう。 第五に、市東さんの南台農地強奪を阻止し、空港機能強化策粉砕、第三滑走路建設阻止をかかげて闘おう。三里塚現地での実力攻防を日本反帝戦線三里塚現闘団、統一委員会行動隊を先頭に闘おう。市東さんはじめ、反対同盟農民の営農を支えよう。一八年に及んだ市東さんの南台農地をめぐる耕作権裁判闘争は最終段階を迎えた。千葉地裁デモ、傍聴闘争を闘おう。 第六に、戦争国家化とともに強まる差別排外主義煽動と断固として対決し、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争を推進しよう。狭山第三次再審闘争を闘う部落解放闘争、障害者解放闘争、被爆者、被爆二世・三世解放闘争、女性解放闘争、セクシャル・マイノリティー解放闘争、在日・滞日外国人の闘い、入管法・入管体制解体に向けて闘おう。 第七に、階級的労働運動を推進していこう。日帝ブルジョアジーは、経団連「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」や、二〇二四年度版経労委報告に見られるように、集団的労使関係の破壊、労働者保護制度の解体、労働時間規制の解体を目論んでいる。資本の攻勢と対決し、産業別・業種別労働組合の建設と地域合同労組・地域一般労組の建設を重層的に推進しつつ、全国各地で階級的労働運動を推進していこう。 とりわけ、中小、未組織労働者の大幅賃上げをかち取ることが重要だ。全国一律最低賃金一五〇〇円以上の実現、均等待遇の実現を要求して闘おう。 技能実習制度に代わる「育成就労制度」は名前を変えただけの欺瞞にすぎない。外国人労働者の権利確立を求めて闘おう。 ●二〇二四年共産主義運動を前進させよう 現代帝国主義は、三〇年に及んだグローバリゼーションを放棄した。代わって、米帝―バイデンは「民主主義と専制主義との戦い」を打ち出し、帝国主義諸国もこれに追随し、世界の二極への分断を進めている。だが、この戦略によっても、現在に至るまでウクライナ侵略戦争、ガザ大虐殺という二つの戦争を停戦へと持ち込むことができていない。これは、現代帝国主義が、世界の覇権を護持する力を失ってきたことを意味している。 混迷する世界情勢の中、帝国主義諸国は、「死の商人」として自国の軍産複合体に莫大な利益をもたらしつつ、労働者階級の非正規化・無権利化を推し進める新自由主義政策を継続している。一方では、排外主義煽動によって自国の労働者人民を組織・統制し、戦争総動員体制を強化している。帝国主義諸国内において共通する特徴は、この機に乗じた移民排斥、エスノセントリズム(自民族優越主義)を主張する極右ファシスト勢力による排外主義襲撃が多発し、その勢力は政権の一部を構成する勢いを見せていることだ。 このような破綻と混乱の帝国主義の支配を打ち破れるのは、国境を越えた労働者階級人民の実力的闘い以外にはない。 搾取と収奪を強め、困窮化を強制するブルジョア支配階級に対し、団結した労働者階級の力をもって対峙しなければ、排外主義的ナショナリズムに絡めとられる。今こそ労働組合が先頭に立って、階級的要求を掲げた労働運動を闘う時だ。 プロレタリア国際主義に立脚し、自国帝国主義打倒の反戦闘争に立ち上がろう。 われわれ共産主義者同盟(統一委員会)とともに、日本―世界の共産主義運動を切り拓いていこう。 |
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